【求職者必見】林業とは?7つの作業内容とあふれる魅力5選

林業

大自然の中でおもいきり働ける、林業に興味はありませんか。普通に生活していては見ることがない業種なので、実際にどんな仕事をするのかわかりにくいですよね。

しかし、他では味わえない魅力がたくさんあるのが林業です。もしかしたら、社会生活におけるストレスで悩むあなたにとって、天職である可能性が考えられますよ。

そこでこの記事では、林業に携わって15年、。子供の頃から山育ちの筆者が、以下の内容を紹介します。

  • 林業の概要
  • 林業の給料水準や休日
  • 林業7つの作業内容
  • 林業の魅力5選
  • 林業の一日の流れ
  • 林業従事者への就職方法

この記事を読めば、林業の仕事内容がわかり、就職や転職の際の参考情報として活用できるでしょう。ぜひ最後まで読んでみてください。

林業とは

林業は木を苗から育てて森をつくり、大きくなった木を伐って売る産業です。木を伐った後は、また苗木を植えて新しい木を育てます。木を「伐る(きる)」「植える」のサイクルは、早くても50~100年ほど。苗木を植えた人が、木の伐られる姿を見られないことも十分に考えられる年月です。

また、林業が作る森には、以下のような役割があります。

  • 森に水を蓄えて水害を防ぐ
  • 水や空気をきれいにする
  • 二酸化炭素を吸収する
  • 動物にすみかを与える

こうした森の働きは、公益的機能と呼ばれています。単に木材の生産ためだけではなく、世界のためにとって、替えのきかない産業といえます。

林業における給与や休日の実態

林業における給与や休日はどのようになっているのでしょう。転職を考えている場合は、林業の中身と同様に気になるところ。給与と休日に分けて、詳しく紹介します。

給与水準は低めである

令和3年の全業種における平均給与は443万円。令和4年における林業の平均賃金は約360万円となっていて、全業種と比べて低い水準です。給与が低い理由は、木材価格の低迷に関係があります。

林業の収入源は、木を伐採し、木材として販売したときに得られるお金がほとんどです。現在の木材価格はピーク時の約3分の1ほど。最近では木材を売っても高くは売れないため、給与にも影響していると考えられます。

ただしこの金額は平均であり、組織に属している場合の水準です。技術を身に付け、独立した場合は、この限りではありません。独立し自らの手で稼げれば、組織に属しているよりも多くの収入を得られる可能性があります。

参照元:令和3年分 民間給与実態統計調査|国税庁

参照元:林業作業 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

休日は会社と組合で分かれる

林業で働く人を「林業従事者」と呼びます。林業従事者の所属先は主に「森林組合」と「民間企業」です。森林組合とは、森林を所有している組合員のための協同組合をいいます。

森林組合の休日は暦通りです。土日と祝日が休みのほかにも、お盆休みや年末休暇が用意されている場合がほとんどです。

土曜日も仕事の場合が多いのが民間企業。最近では土曜日を隔週休みにするなど、従業員の働きやすさも考えられています。

【林業】7つの作業内容を紹介

林業の仕事内容は大きくわけて、以下の7つがあります。

  1. 苗木を植える場所を片づける(地拵え)
  2. 苗木を植え付ける(植栽)
  3. 下草を刈る(下刈り)
  4. 成長の邪魔する木を伐る(除伐)
  5. 生育の悪い木を伐採する(保育間伐)
  6. 伐採した木を売りだす(搬出間伐)
  7. 範囲内の木をすべて伐る(皆伐)

皆伐の作業が終わるとまた地拵えの作業へ戻り、林業は繰り返されます。作業の流れに沿って、順番に紹介します。

1.苗木を植える箇所を片づける(地拵え)

地拵え(じごしらえ)とは、苗木を植えられるように、整地する山のゴミを整理する作業です。木を伐採したままでは、落ちている枝や、山野に普通に生えている小さい雑木である「柴(しば)」が邪魔で、苗木をうまく植えられません。そのため、あとに控える作業を考えて、地拵えをおこなうのです。

地拵えは、カマや刈払い機を使って作業します。地面に生えている草を刈払い機で切断し、カマでゴミを引き寄せます。苗木を植えられるように際に、改めて機械を使うことがなくなるまで続けまく作業です。

2.苗木を植え付ける(植栽)

地拵えで山を整理したら、育てたい樹種の苗木を植え付けます。この作業を「植栽」と呼びます。植栽は、決まった樹種を一定間隔で山に植える作業です。地拵えが丁寧だと、あとで苗木を植えるときに作業がはかどります。

作業のペースとして、根っこが露出している普通の苗木は、早い人で1日に300~400本植えます。一般的な山への植栽本数は、100m2当たり20本です。もし東京ドームの広さにを植えるとすると、10人の植えるのが早い職人さんチーム10人で、5日ほどかかるでしょう。

3.下草を刈る(下刈り)

下刈りとはカマや刈払い機を使って、苗木の成長をさまたげる下草を刈る作業です。下草に埋もれている、苗木に光を当てるためにおこないます。下刈りをしないと、苗木は大きくなれず、最後には枯れてしまいます。苗木を健全に育てるためには、林業の中でも非常に重要な作業です。

苗木が1~7歳くらいまでの間、毎年下刈りがおこなわれます。作業の季節は6~8月が繁忙期。苗を植えたばかりの場所には、日陰がありません。一日中日光の下で作業する下刈りは、林業の中でも3本の指に入るほど肉体的にハードな作業といえます。

4.成長の邪魔をする木を伐る(除伐)

除伐は育てたい木の生育を妨げる、他の木を刈り払う作業です。生育をさまたげるものを刈るという点で下刈りと似ていますが、年数がたっているため、10cmほどの木を切ることがあります。

除伐作業によって成長の邪魔をする周りの木がなくなるので、植えられた木は4~10mほどに成長。木が25歳くらいになるまで、2~3回ほど繰り返されます。

除伐作業は下刈りと同様に肉体的に厳しい作業で、足がつってしまうこともしばしば見かけられます。しかし、下刈りと違いう点は日陰の存在です。植えた木が大きくなっているので、日影ができるのです。

山の作業で日陰があることは、砂漠でオアシスを発見するようなもの。日影があるだけで、作業効率は2倍以上違うことがあります。

5.生育の悪い木を伐採する(保育間伐)

育てた木のなかでも、生育の悪い木を伐採する作業が保育間伐です。木の年齢がおよそ25~35年生になったときにおこないます。伐採することで残された木に光が当たり、光合成が促進され成長が良くなります。

保育間伐の効果は、野菜の間引きと同じです。間引きもたくさんの種をまき、野菜を大きくするために苗の間の苗を抜いていく作業。規模の大きな山でも、木を大きく育てるために同じことがおこなわれているのです。

6.伐採した木を売りだす(搬出間伐)

保育間伐と同じように、生育の悪い木を伐採する作業です。保育間伐と違うのは、伐採する気が歳をとっていること。木が40~60歳ぐらいのときにおこないます。

間伐した木は保育間伐のときよりも大きく、搬出すると製材工場などに販売できます。林業にとっての「搬出」とは、木材運搬用のトラックが来られる場所まで、林の中から木材を出すことを指します。

大きく健康な林に成長しないと、山の公益的機能が低下します。木の成長を促すため、また日本の国を守るためにも、進めていかなければならない作業です。

7.範囲内の木をすべて伐る(皆伐)

決められた範囲の中で、植えてから60年以上たった木をすべて伐るのが、皆伐(かいばつ)作業です。伐られた木は、すべて製材工場やチップ工場へ運ばれ、木材として利用されます。

皆伐は林業にとっての一大イベントです。60年余り育ててきた木を、すべて伐採することになるのですから。

山の機能面からいうと、伐採直後は公益的機能を失うので、すぐさま植栽することが重要です。現在の日本は、植栽せず放置される割合が多く、次世代を担う苗木が植えられていない課題があります。

他ではなかなか味わえない林業の魅力5選

他の職種ではなかなか味わえない林業の魅力は、以下の5つが挙げられます。

  • 休憩時間がプチキャンプになる
  • 少ないストレスで働ける
  • 山歩きで体が鍛えられる
  • 四季を感じられる
  • 野生動物と出会える

林業では、仕事をしながらさまざまな魅力を味わえます。それぞれについて、くわしく紹介します。

休憩時間がプチキャンプになる

林業は森の中で休憩します。大自然の中での休憩時間は、心も体も休められるでしょう。例えば、お手製のコーヒーやお茶を入れると、まさに気分はプチキャンプをしているかのよう

鳥のさえずりや川のせせらぎがBGMです。毎日プチキャンプ気分を味わえるのは、林業をしている人の特権です。

少ないストレスで働ける

林業は山の中での作業に集中するため、都会のけん騒とは真逆の世界です。そのため森林環境に身を置くと、ストレスを表す数値が改善されることが分かっています。

例えば、以下のような項目の数値が下がるという研究データがあります。

  • 緊張や不安
  • 抑うつや落ち込み
  • 怒りや敵意
  • 疲労や混乱

森林環境下に身を置くと、怒り・敵意の数値は50%以下に減ります。森林環境下で作業する林業は、少ないストレスで働けるでしょう。実際に私が森林で働いたときも、毎日健康的に過ごせていました。健康診断の結果も、毎年変わらぬ数値を得られていましたよ。

参照元:森林の健康と癒し効果に関する科学的実証調査報告書(要旨)林野庁

参照元:データで見る国立公園の健康効果とは? | 国立公園に、行ってみよう! | 環境省

山歩きで体が鍛えられる

森林の中では、地面が平らなことはまずありえません。山を歩くだけでも毎日体が鍛えられるでしょう。

山を歩き、体が鍛えられていたおかげで、私の体は相当引き締まっていました。毎日晩酌をしていたにもかかわらず、BMIで適正体重といわれる数値の「22」を超えることは、一度もなかったです。体を鍛えるにはもってこいの職種といえます。

四季を感じられる

林業に就くと、毎日自然と隣り合わせで仕事をするため、季節の移り変わりを感じられます。春には木々が芽吹きはじめ、冬の終わりを教えてくれます。せみの鳴き声が夏の到来を告げ、秋には山全体が黄や赤に色づく。

冬には大自然の厳しい寒さが待っていて、春が待ち遠しくなります。毎日山に行く林業だからこそ、四季の移ろいを強く感じられます

野生動物と出会える

野生動物と出会えるのも、林業の魅力のひとつです。野ウサギやフクロウ、カモシカなどの動物をよく見かけます。動物が好きな人にはたまらない点でしょう。

しかし、危険な動物と出会う可能性があるのも林業です。クマやハチがその代表例です。襲われる可能性があるので、細心の注意を払う必要があります。

林業現場の一日の流れ5STEP

林業現場の一日は、以下のように進みます。

  1. 集合
  2. 午前作業・休憩
  3. お昼休み
  4. 午後作業・休憩
  5. 帰宅・明日の準備

実際に仕事の流れをイメージできれば、他の仕事との違いがよりわかるでしょう。それぞれについて順番に紹介します。

1.集合

林業はチームで作業するので、集合してから仕事に向かいます。集合先には以下の2つがあります。

  • 自分の車で現地集合
  • 乗り合わせるため会社へいったん集合

事務所などを持たない、個人の親方が切り盛りしているチームなどは、現地に直接行く場合が多いです。会社や森林組合など大きな組織であれば、いったん会社に集合し、その後現地へ向かうことが多いでしょう。いずれにしても、現場への集合手段は車であることがほとんどです。

2.午前作業・休憩

朝のミーティングをおこない、作業を開始します。10時が午前休憩の開始時間です。次の作業の報告をしながら、各々休憩を取ります。

大自然のなかでコーヒーを飲んだり、山のBGMを聴いたりしてゆっくりと過ごします。休憩時間のない林業は、ほとんどないといっていいでしょう。

過酷な林業の現場で作業した体を休めるため、さらには、次の作業をスムーズに進めるために休憩時間を活用するのです。

3.お昼休み

1日の楽しみの大部分は、なんといってもお昼休み。大自然の中で食べるお弁当は、格別です。晴れた日に公園でご飯を食べる感覚と似ています。

また、お昼休みを趣味の時間に使う人もいます。山菜やキノコ採りに出かける人が多いです。保存食として塩漬けにしたり、近所の方へお裾分け用に採ってきます。

お昼休みの最後には、昼寝をします。けん騒のない山のなかで、わずかに聞こえる鳥の鳴き声や川のせせらぎを聴きながら、少しの間、眠りにつきます。午後からの作業に備え眠りにつきますが、周囲の環境がぜいたくな昼寝といえます。

4.午後作業・休憩

昼の休憩が終わり、午後の作業に入ります。昼前の時間に次いで、事故が起きやすい時間帯です。昼の休憩から頭を切り替えられていないことが原因かもしれません。

休憩があるのも、午前と一緒です。山の日暮れは早く、冬は15時にもなると薄暗くなってきます。周囲に街灯などはもちろんありません。真っ暗になる前に、早めの下山準備に取りかかります。

参考元:第1章 作業事故実態及び要因分析調査 Ⅱ-2分野別分析(林業)

5.帰宅・明日の準備

家や会社に着いたら明日の準備をします。とくに刃物の切れ味を戻しておくことは、絶対に必要です。作業効率の面から考えて、林業では扱う刃物が一番大切な道具。なぜ大切かというと、使う刃物の切れ味が作業の効率に直結するからです。

おそらく、切れ味の落ちたチェーンソーで私が木を伐るより、高校生が切れ味の鋭いチェーンソーで伐る方が、圧倒的に作業スピードが早いでしょう。

日中の休憩中にも刃のメンテナンスをしますが、1日の終わりに研ぎ直し、朝一番の作業効率を最大にします。

先輩の方のリアルな声を聞いてみよう

Twitterで林業についての発信を検索し、先輩方の声を載せました。林業の現場を体験している、リアルな声をお聞きください。

メリットが多く寄せられていますが、危ない」「重労働」などの声もなかには見かけられました。SNSの発信を追うと情報は得られます。しかし、林業の実態を知るには、職場体験などを通じて作業を体験する選択肢もあります。

林業事業体への就職方法

林業を実際に行う組織である「林業事業体」への就職方法は、主に以下の方法があります。

  • ハローワークで求人を探す
  • 求人サイトで探す
  • 知り合いのつてで林業を営む班を紹介してもらう
  • 各都道府県の林業労働力確保支援センターに相談する

いずれの就職方法でも、会社によって就労条件や職場の雰囲気は異なります。職場体験などができれば、自分の理想に近い組織を見つけやすいでしょう。

林業には大自然にまつわる魅力がたくさん!

日常とは違う環境下で働く林業の仕事。植栽から皆伐までの作業が、100年近くの年月をかけながら繰り返されます。

林業における魅力は、働くフィールドが森林や山なことからきています。大自然の中で食べる昼ご飯は、まさに林業ならではの魅力です。山歩きによって体も大いに鍛えられるでしょう。

実際に山に入ると空気の違いや、音の違いに驚くかもしれません。それほど林業のフィールド、「森林」での活動は、日常とはまったく異なるものです。今回の記事を読んで、少しでも林業に興味をもってもらえたら嬉しく思います。

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